木星は太陽系最大の惑星であり、主に水素とヘリウム(He)からなる気体でできています。高速で自転しており、表面には地球が2つ入る「大赤斑(だいせきはん)」と呼ばれる巨大な大気の渦があるのが特徴です。惑星の質量を直接測ることは難しい・・・。そこで、木星の衛星イオの運動から木星の質量を算出してみましょう。
ここで、月の公転に着目すると
地球の質量を \(M\)、月の質量を \(m\)、月の速度を \(v\)、月の公転周期を \(T\)、月の軌道半径を \(L\) として万有引力と遠心力のつり合いの式を立てると
\(m\dfrac{v^2}{L}=G\dfrac{Mm}{L^2}\)・・・①
\(T=\dfrac{2\pi L}{v}\)・・・②
①, ②より\(M\) について解くと
\(M=4\pi^2\dfrac{L^3}{GT^2}\)・・・③
と表せます。
イオの軌道半径は約42万、公転周期は1.77日であることは知られています。また、月の軌道半径は \(L=38.4\) 万km、公転周期は \(T=27.3\) 日です。
したがって
イオの軌道半径 \(L’\) は
\(L’=\dfrac{42}{38.4}L=1.094L\)・・・④
イオの公転周期 \(T’\) は
\(T’=\dfrac{1.77}{27.3}T=0.0648T\)・・・⑤
木星の質量を \(M_J\) とすると、③式と同様に
\(M_J=4\pi^2\dfrac{L’^3}{GT’^2}\)
\(=4\pi^2\dfrac{\left(1.094L \right)^3}{G\left(0.0648T \right)^2}\)
\(=312\times 4\pi^2\dfrac{L^3}{GT^2}\)
\(=312M\)
よって、木星の質量は地球の312倍と算出されます。
実際には木星は地球の約318倍であることが知られていますが、近い値を算出することができました。木星には80個ほどの衛星が確認されており、そのうち大型の衛星がイオの他にエウロパ、ガニメデ、カリストがあります。これらの惑星でも木星の質量を算出してみてください。