COD(化学的酸素要求量)

湖沼や川が、工場や家庭などの排水に含まれる有機化合物によってどの程度汚濁されているかを知るのにCOD(Chemical Oxygen Demand – 化学的酸素要求量)という指標があります。CODは、採取した試料水に酸化剤の過マンガン酸カリウム KMnO4 を加えて、一定の条件下で有機化合物を分解するとき、試料水1.0L当たりに消費される酸化剤の量を、それに相当する酸素の質量[mg]に換算したものになります。単位は[mg/L]となります。使用した酸化剤や還元剤にかかわらず、酸素の質量に換算することで共通の指標として汚濁の程度を測ることができます。下記の実験からCODを算出してみたいと思います。


【実験】
  1. コニカルビーカーに試料水50mLを取り、6.0 mol/L の硫酸 5.0 mL を加える。
  2. ホールピペットで 2.0×10-3 mol/L の過マンガン酸カリウム KMnO4 を加え、弱火で約30分間煮沸する。(有機化合物を酸化分解)
  3. ホールピペットで 5.0×10-3 のシュウ酸ナトリウム Na2C2O4 水溶液 10.0 mLを加える。(KMnO4 の赤紫色が消える)
  4. ビュレットで実験2で使った KMnO4 水溶液を滴下して、水溶液がうすい赤紫色(終点)までの体積を求めたところ 3.0 mLであった。

酸化剤 KMnO4 と還元剤 Na2C2O4 のイオン反応式は次のようになります。

酸化剤:MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
還元剤:C2O42- → 2CO2 + 2e

有機化合物との反応で消費された KMnO4 の物質量を \(x\) mol とすると

\(\left\{ \left( 2.0\times 10^{-3}\times \frac{10}{1000}-x \right) + \left( 2.0\times 10^{-3}\times \frac{3}{1000} \right) \right\}\times 5 \)
\(=5.0\times 10^{-3}\times \frac{10}{1000}\times 2\)
\(x=6.0\times 10^{-6}\) mol
試料水 1.0 L に換算すると
\(6.0\times 10^{-6} \times \frac{1000}{50}=1.2\times 10^{-4}\) mol

酸素は
O2 + 4H+ + 4e → 2H2O
と反応するので、消費された KMnO4 の量に相当する酸素の質量[mg]は

\(1.2\times 10^{-4}\times \frac{5}{4}\times 32\times 10^{3}=4.8\) mg/L となります。

CODの値が大きいほど、水の汚濁が進んでいると考えることができます。
環境省では生活環境の保全に関する環境基準として、CODの数値が類型ごとに定められています。