つくば市でオレキシンを発見した柳沢正史教授が市職員の睡眠について実証実験をするそうです。
オレキシンは、私たちの脳内で作られる神経ペプチドの一種です。1998年に発見され、ギリシャ語で「食欲」を意味する「orexis」から名付けられました。当初は食欲を促進する物質として注目されていましたが、その後、睡眠と覚醒のバランスを制御する上で非常に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
オレキシンは、主に視床下部という脳の部位で作られます。この物質は、覚醒状態を維持し、眠気を抑制する働きがあります。具体的には、オレキシンは脳のさまざまな部位に信号を送り、神経活動を活発化させます。これにより、私たちは集中力を高め、活動的な状態を保つことができるのです。
一方、睡眠時にはオレキシンの分泌量が減少し、脳は休息状態に入ります。つまり、オレキシンは、私たちがいつ寝ていつ起きるのかという体内時計の調節に深く関わっていると言えるでしょう。
オレキシンの働きがうまくいかないと、さまざまな睡眠障害が起こることがあります。例えば、ナルコレプシーという病気は、オレキシン産生神経が破壊されることで起こります。ナルコレプシーの患者さんは、日中に強い眠気に襲われたり、レム睡眠中に体が動かなくなったりするといった症状(金縛り?)を経験します。
オレキシンは、私たちの睡眠と覚醒を司る上で非常に重要な物質です。オレキシンの研究は、不眠症やナルコレプシーなどの睡眠障害の治療法開発に繋がることが期待されています。