チョコレイト・サイエンス

つくば市の高エネルギー加速器研究機構が物理の力で美味しいチョコレートを作る「チョコレイト・サイエンス」を開催しています。

チョコレイトという表現がこだわりを感じる。日本のチョコレートの歴史は、東京で「風月堂」というお店で米津松蔵という人が、ヨーロッパの菓子職人を用いてチョコレートの製造をスタートさせたのが始まりなのだとか。そのとき、漢字で貯古齢糖(ちょこれいと)と表示しました。

料”理”というからには、調理技術には理科の知識・技能は重要です。チョコレート作りを物理的に観てみると、次のようになるのではないでしょうか。

チョコレートを作るためには、カカオ豆からの加熱、粉砕、混合が必要です。この過程で、カカオ豆の内部に含まれる脂肪であるカカオバターが溶け出し、固形のカカオの粒子が細かく砕かれます。この段階で、微細な粒子が均一に分散することが重要です。粒子が均一に分散されると、後の工程でより滑らかな質感と良い口当たりを実現します。

次に、カカオマスに砂糖や乳固形分を加えます。これらの成分を均一に混合することで、チョコレートの甘さやクリーミーさが決まります。この混合工程では、温度と速度の制御が重要です。十分な混合が行われないと、砂糖の結晶や乳固形分の凝集が生じ、不均一なテクスチャーが生じる可能性があります。

その後、チョコレートの精製工程が続きます。この段階では、チョコレートの粒子を微細化し、さらに滑らかな質感を実現するために、精練機を使用します。精練機は、チョコレートを高速で回転させることで、微細な粒子を形成し、粒子の表面積を増やす役割を果たします。これにより、チョコレートの口どけや風味が向上します。

最後に、チョコレートを成形して冷却します。成形工程では、チョコレートを希望する形状に成形し、冷却することで固化させます。適切な冷却速度と温度管理により、チョコレートの結晶構造が適切に形成され、理想的なテクスチャーが得られます。

以上の工程を通じて、物理的な操作がチョコレートの品質や美味しさに大きく影響します。均一な粒子サイズ、適切な混合、精練、そして冷却は、美味しいチョコレートを作るために欠かせない要素です。

チョコレイト・サイエンス